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Getting Things Done
コメントはまだありません最近、仕事が複数積みあがってきたので、以前から課題としてた「GTD」に真剣に取り組むことにした。
GTDとは「Getting Things Done」の略で、デビッド・アレンという人が提唱した仕事の整理術。
要は「やるべきことをちゃんとやり終える」ための仕事術なのだが、これが意外とわかりやすくて自分の肌によく馴染んだため、数年前から取り組んできた。
しかし、そこで問題となったのはスマートフォンやパソコンを利用してGTDをやろうとしても、なかなか自分のやりたいことをやりたいようにできるサービスやアプリが存在しなかったということ。良いものがあっても、結局いくつものアプリを同時に使用する必要があったりと、かえって作業が面倒になってしまうことが多く、そのためGTDの実践は封印してきていた。
ところが、ここしばらくの間にタスク管理やプロジェクト管理の良いアプリやサービスがリリースされ、だいぶ自分のやりたかったことに近づいてきたので、再びGTDの世界に没入することにした。さて、このGTDは世間を賑わす仕事術のように「まずはきっちり目標を立てよう!」というような理想論を言わない。まあそこが現実的な仕事術と感じさせてくれるのだが、「目の前に仕事が山積みになってるのに、将来の目標なんか立てられるか!」というのがGTDの基本スタンスにある。
だったらちゃんと目標を立てられるように「目の前の仕事を片付けてしまおう!」ということだが、当然GTDでも「目標を立てる」ということは重視している。目標を立てずに仕事をするのは愚の骨頂なのだ。
「あれ?言ってること矛盾してない?」と思われるかもしれないが、GTDで言いたいのは「邪魔な仕事はさっさと片付けて、目標を立てる余裕を作ろう」ということなのだ。では実際にどうやるか?という話だが、GTDでは大きく分けて「収集・処理・整理・レビュー・実行」の5つのプロセスを回していくことになる。
まずは「収集」のプロセスだが、文字通り「自分が抱えているものを全てかき集める」ということを実施する。
この「収集」でのポイントはただ一つで、「とにかく全部書いておく」ということ。
どうせこの後整理するのだから、とにかく頭に浮かんだもの、思いついたものをただ書き連ねて行けばよい。メモ書きでも良いしPCで打ち込んでも良い。やるべきことでもやりたいことでも何でも良い。とにかく「TODO」として抱えているものをひたすら書き出せば良いのだ。
ただ、これは片っ端から書き出していくことになるので、最初は自分の頭から引き出すのに結構な時間がかかる。初めてGTDに取り組む時は数時間かかるのを覚悟しておくべきだろう。
しかし、一度GTDのプロセスを回し始めると、このプロセスは簡単にこなすことができるようになるから不思議なものだ。そして収集が終わったら次は「処理」のプロセスに移る。
「おいおい、いきなりもう処理しちゃうのかよ?」と思われるかもしれないが、ここでいう処理は「実施する」という意味ではない。
この「処理」のプロセスでは、収集したものを分類するのだが、この分類中に重要な処理を行うことになる。それは「2分以内で終わる作業は終わらせしまう」ということだ。
この処理自体はGTDを回し慣れてきたら収集のプロセスで実施すると良いのだが、慣れないうちは2分の間に忘れてしまうこともある。
なので、特に最初の収集では余計なことはせず、とにかくかき集めておいて、それを分類していく中で「あ、これはすぐに終わるな」と感じたものを「処理」してしまえばいい。
その残ったものを分類するのだが、これは「自分がわかりやすく分類」できているならそれで良い。仕事の流れでまとめても良いし、作業のカテゴリでまとめても良い。とにかく「まとめながら簡単なものは潰してしまう」のが「処理」プロセスなのだ。
そしてここで分類された一つの塊をGTDでは「プロジェクト」と呼んでいる。さて、ここまででやるべきことが洗い出され、簡単な作業は全部処理できたので、いよいよ「整理」を行う。
「処理」のプロセスでまとめたプロジェクトを、日付順でも重要度順でもいいので「優先順位」を付けていく。さらにプロジェクトの中にある仕事にも、難易度や締切を考慮して「優先順位」を付けていく。
この「優先順位を付ける」という作業が「整理」のプロセスになる。
ただし、当然のことだが、優先順位づけで仕事としての流れを無視してはいけない。難しかろうがなんだろうが、先にやらなければならないことは先にやる。その仕事の基本を無視した優先順位づけをしないように気を付けなくてはいけない。
この「整理」が終わると、自分の仕事がどれだけあって、何から手を付けないといけないのかが明確になる。
要するにここで自分の頭の中も、仕事の流れも、仕事の進め方も「整理」されるわけだ。そして優先順位がついたところで「レビュー」にうつる。
「レビュー」と聞くと社会人の皆さんは嫌な顔をするかもしれないが、GTDの「レビュー」では上司に見てもらう必要はない。
もちろん上司に見てもらってもいいのだが、自分だけで「レビュー」ができる。なぜなら「レビュー」で行うことは「今日やることを決める」ことだけだからだ。
今日やることを明確にして、それを宣言することをGTDでは「レビュー」と呼んでいる。
ちなみにこの「宣言」は「今日これをやりま~す」と言いなさいということではないというのは皆さんにも理解していただけていると思う。整理した中から今日やることをTODOリストなり何なりに引き出してくることを「宣言」と呼んでいるのだ。
しかし、この「今日やること」は迂闊にすると、非常に少ない量を引き出してしまい、結局後になって泣きを見るという可能性もある。それを避けるためにも「今日やらなければならないこと」という意識で引き出すことが重要だ。そして加えるなら「明日で良いものは明日に回す」ということも重要。そうしなければ「やらなければならないこと」と「やった方がいいこと」が混ざってしまい、重要度がずれてきてしまう。とにかく「今日やらなければならないこと」を引き出し、その上で時間が余ったらまた「他にできること」を引き出してくるようにしよう。さて、ここまできたら後は「実行」するのみ。
ここで大事なことは、先ほど引き出した「今日やらなければならないこと」は残業しててでも「今日やってしまう」ということ。
それと一つを実行している間は別の実行をしないこと。もちろん、処理待ちなどの待ち時間は別の「実行」をしても良いが、下手にパラレルに「実行」しないようにしよう。そうすることで、一つずつ確実に仕事を終える癖がつくし、仕事が終わって行くという実感を得ることもできるのだ。
ただ、本来仕事が全て終わったなら、いつ帰っても良いのだが、日本の社会人はそうはいかない。「実行」している間にも別の仕事が舞い込んでくることは日常茶飯事だろう。そういう時は即「収集」を実施しておくことで、「実行」が終わった後、すぐに「処理」以降のプロセスを回すことができるようになる。既に今抱えているものは整理までが終わっているので、新たな仕事が舞い込んできても、GTDプロセスを回すことはそんなに難しくないし、時間もかからないはずだ。先に行った通り「一度やってしまうと、次からは楽になる」という理由はここにある。
どんなに新しい仕事が舞い込んできても、しっかりGTDプロセスを回していけば、仕事が積み上がり過ぎて、作業に追われるということからは、大部分で解放されることになる。実際にGTDを実践してみて、今の自分はほぼ毎日定時で帰宅することができている。
「何から手を付けていいかわからない」とか「仕事に追われて毎日帰りが遅い」という方は、是非一度GTDを試してみてはいかがだろうか?