[独り夜話] ザ・ファブル | Blog | R+R Computer Factory
  • [独り夜話] ザ・ファブル

    by Megumu Akahori
    5件のコメント

    タイトル:ザ・ファブル
    公開:2019年

    南勝久作「ザ・ファブル (ヤングマガジン)」を岡田准一主演により実写化。
    寓話(ファブル)と仇名される殺し屋が、「普通の生活を送れ」というボスからの命令をプロとしてこなしていく。
    ただ、当然普通の生活が普通に送れるはずもなく、周囲の人間ともども様々な事件に絡んでいく…

    自分はこの原作漫画を知らなかった。
    Amazon Prime Videoで別の映画を見ているときに予告編が流れてきて、非常に面白いスポットCMだったので興味を持って見てみることに。
    個人的に漫画の実写化については嫌悪しているので、原作漫画の存在を先に知っていたら絶対に見なかっただろう。
    逆に言うと、嫌悪感なく先に映画を見たため、映画として冷静な評価はできていると思う。

    見て、まず驚いたのは豪華な俳優陣。
    正直ジャニーズやAKBやお笑いタレントが俳優を名乗り主演すること自体が大嫌いなので、主演の岡田准一については「豪華」の中に入れる気はしない。
    (そもそも俳優として芸能界を登ってきた人以外に「俳優」という肩書を与えるのは、俳優の皆さんに失礼だからだ)
    まあ、個人的な俳優感は置いておいて(言い切っちゃったけど)、脇を固める俳優陣は非常に豪華そのもの。

    木村文乃、福士蒼汰、柳楽優弥、向井理、佐藤二朗、光石研、佐藤浩市、安田顕
    ヤスケンはあえて最後に(笑)、山本美月もいるがこの子はモデル上がりなので前述のとおり俳優からは外した。
    でも、この俳優陣を見ただけでも「非常に面白そうな映画」であることを期待させてくれる。

    オープニングはマフィアとヤクザの宴会シーンが殺戮現場となるシーンから。
    ターゲットとの距離やショットの順番、狙ってる位置などが線や文字で表示され、的確に1ショット1キルしていくシーンが続く。
    この演出はなかなか面白いと思ったのだが、そのあとこの演出は完全になりをひそめる。
    まあ、後半の展開を含めて考えるなら、ボスの言っていた「少しでも殺しのスキルが落ちた」ということなのか?と後で無理矢理自分を納得させたが、後半戦のアクションシーンは人が多く出てきすぎて「いちいちそんなエフェクト入れていられない」が本当のところだろうとうがった見方をしている。
    正直、あの演出はアクション補助として視覚的に面白かっただけに、オープニングにしか登場しなかったのはもったいない。
    そのあと街でチンピラに絡まれるシーンがあるが、相手を的確に分析するときにそれっぽい表現が出てくるくらいで、そのあとはインポーズとなるエフェクトは一切使われていなかった。
    中途半端にやめるくらいなら、最初からやらなければいいのに…

    そしてそのあとはビックリするほどダラダラとしたストーリー展開が続く。
    あのスポットCMのスピード感はどこへ?と思うくらいにダラけた展開が延々続く。
    そしてようやくヒロインの救出シーンに入るが、おそらく監督としては「大勢に囲まれても切り抜けられるほど強い」というのを見せたかったんだろう…が、単純に「大勢に囲まれてわちゃわちゃしてるだけのアクションシーン」になってしまって、迫力もスピード感も一切なし。
    あれだったら敵を10人~20人くらいにして、全員1撃でパパっと倒すオープニングの焼き直しをやった方がよっぽどファブルの強さを表現できたのではないだろうか?
    正直「世界基準」と銘打っていたアクションシーンも、結局スーパースロー再生で特撮感丸出しだから台無しに。
    見終わった瞬間「なんじゃ、この映画」としばらくポカーンとしてしまった。

    主人公の猫舌も、時折挟まれるギャグシーンも「さあ、笑ってください」と通告されているにも関わらず、まったく笑うところはなし。
    まあ、唯一序盤に出てきたチンピラとの格闘シーンが少し面白かったくらいで後は語るに及ばず。
    売りにしていたアクションもダメ、ギャグもダメ、一体何を観客に見せたかったのか?
    正直、あれを映画館で金払って見てたら、帰り際にパンフレット破り捨てて帰ってくるレベル。

    唯一この映画の見どころがあるとしたら、柳楽優弥のぶっ飛んだ演技くらい。
    ヤスケンにも期待してたんだけど、途中で色んな意味で表舞台から退場するので、あんまりヤスケンらしさが出てなかったが、柳楽優弥にいたっては「こいつこんなにやべぇ奴だっけ?」と思わせるくらいぶっ飛んだチンピラ役にはまってたのはさすがとしか言いようがない。

    これだけの俳優陣を集めて、これだけどうにもならない映画を撮っておきながら、CMだけはすげえ面白そうに作れるっていうのはスタッフがすごいんだろうな、と思ったが監督江口カン氏の略歴を見て納得。
    この方はCM映像ディレクターだったんですね。
    要は映像の時間が短ければ短いほど味を出せる人、なので、そりゃ予告編作らせたら天下一品でしょう。
    その分、映画やドラマのように長い時間の映像撮らせると、間が埋められなくなって、こんな作品になってしまうんだなぁ・・・と。

    ちなみに、この映画を見た後、我慢できなくなって原作漫画を買いに行きました。
    結論から言うと、原作漫画はすごく面白いです。
    主人公が猫舌になった理由もしっかりわかりますし、それぞれのキャラクターもちゃんと個性を持って描かれています。
    いつもは原作漫画を先に読んでいるので実写映画は見ないんですが、逆に実写映画を見てから原作漫画を読んだパターンになりましたので言うわけではないですが、結論から行くと「やはり実写化映画は最低」でした。
    人気漫画からキャラ設定とシナリオ原案だけもらってくるような映画の作り方を是としていたら、いつまでたっても日本の映画は世界から遅れていくでしょうね。

    ということで、このザ・ファブルはまもなく第2作が公開されるようですが、よりによってヒロインはAKB上がり。
    もう、この時点で見る価値なしなのは確定しています。

    原作漫画を知らずに見た段階でこの映画の点数をつけるなら15点(100点満点中)がいいところでしょう。
    無駄に時間をつぶしたい、本当に無駄に時間をつぶしても後悔することはない、ということであればAmazon Prime Videoで流し見するといいでしょう。
    途中のシーンを見逃しても絶対に後悔することはありませんので、何かやっている最中のBGM的に流しておけば十分な映画でした。

    

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