ダイナミックレンジって何? | Blog | R+R Computer Factory
  • ダイナミックレンジって何?

    by Megumu Akahori
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    20160908-01

    さて、今回ちょっと訳がありまして、ダイナミックレンジについてお話しさせていただきます。

    で、ダイナミックレンジって何?ということですが、答えを先に言ってしまいますね。
    ダイナミックレンジとは「1露光で撮影できる明るさの範囲」のことです。

    極端に言ってしまうと「明暗差の大きい状態をどこまで1枚の写真に収められるか?」という指標を表したのがダイナミックレンジなのですが…
    まずは論より証拠で、上の画像を見てみてください。

    左側の写真は手前の木々の葉がちゃんと認識できるように映っていますが、その代わり奥の方の葉が白飛びしてしまっていますね。
    そして右側の写真では、左の写真で白飛びしてしまっていた部分がしっかりと映っている代わりに、手前の葉が黒く潰れてしまっています。

    これは、このカメラのダイナミックレンジが、この明暗差をカバーできていないから発生する現象なのです。
    (ちょっとわかりやすくするために極端に撮影はしていますが…)

    じゃあダイナミックレンジのカバー範囲が広ければ全部綺麗に写るの?と思った方、その通りです。
    ダイナミックレンジのカバー範囲が広ければ、ポートレート撮影で夕日の逆光を浴びても、表情がくっきり写すことができるようになります。
    (今はそんなことができるカメラは存在しませんが…)
    そして、そのダイナミックレンジの話を進めるためには、どうしても光の話をしなければなりません。
    ここから少し数学的になりますが、ちょっと我慢して聞いてください。

    光の信号はdb(デシベル)という単位で表します。
    dbでは日常光の最低レベル(星灯)を1dbとすると、太陽光が140dbとされています。
    あれ?星と太陽がたったの140倍?と思うかもしれませんが、ここは数字と単位のマジックです。
    0dbから140dbまでの間は140しか離れていないように思えますが、0dbの明るさを0.01とすると、140dbの明るさは100,000となり、その差はなんと1千万倍あるのです。
    これは「光の信号の強度(db)」と「明るさの強度(lx)」の違いによるものですが、ダイナミックレンジは光の信号強度(db)で測るため、パッと見で明るさの比率がわかりづらいのは我慢してやってください。
    ※dbの計算式を書くと本当に理数系の授業になる上、ただただ面倒くさいのでここでは割愛しますが、0dbから140dbまでが「日常接する光の範囲」ということを覚えておいてください。
    そして、その140dbをカメラの露出ステップ(みんな大嫌いな段数)で表現すると23.3EV(23+1/3段)という段数で表すことができます。

    では、いよいよダイナミックレンジのカバー範囲ですが、一般的なカメラのダイナミックレンジは約70dbで、EVで表すと約12段になります。
    カメラの1露光で撮れる範囲は、カメラ的にいうのであれば0EVから12EVまでの間、というわけですね。
    ちなみに人間の目は約80db(約14段)のダイナミックレンジを持っています。
    (人間の目と大して違わないなぁと思った方、10db差は約3倍の光量差がありますから、この10dbは大きいんですよ…)

    20160908-02

    それを図に表すとこんな感じになります。
    が…図に余計な矢印や2つありますね。
    この図には皆さんのご覧になっているディスプレイのダイナミックレンジと、プリントされた写真のダイナミックレンジを追記してあります。
    図でわかる通り、ディスプレイのダイナミックレンジは40bd程度、プリント写真のダイナミックレンジは25db程度しかないんですね。

    ここで「あれ?」と思った方、素晴らしい勘をしています…が、きっと行き着いた答えはちょっと間違っています。
    きっと「カメラのダイナミックレンジが70dbあっても、ディスプレイが40dbしかないんだったら、撮影した写真のほとんどはディスプレイに表示できないんじゃない?」と思ったでしょう?
    これは半分正解で、半分間違いです。

    そもそも写真というものはプリントするかディスプレイで見るものです。
    そうしたときに、確かにディスプレイは40dbしか表示できる範囲がありませんが、だからと言ってカメラのダイナミックレンジが40dbでいいというわけではないのです。
    カメラの画像はJPEGの場合、一般的に「ダイナミックレンジのど真ん中を40db分抜き出して画像を作成」しています。
    でも、撮影した画像が暗かったり明るかったりした場合、もうちょっと露光量を調整したいな、と思うことでしょう。
    そこでダイナミックレンジの幅が効いてくるのです。

    いわゆるRAW現像を行う場合、露光量の調整を行うことができますが、この露光量の調整は「カメラのダイナミックレンジの中から、どの40db分を抜き出してくるか」を調整しているのです。
    ディスプレイのダイナミックレンジが40db(EVで約6段)、カメラの画像が70db(EVで約12段)だとすれば、+3段~-3段まで合計6段分の露光量調節が可能になる、ということですね。
    カメラのダイナミックレンジが広ければ広いほど、同じ40dbを抜き出すにしても、その幅を広げることができるわけです。
    この本来画像として表示する40dbに対し、撮影画像のもつ70dbとの差(30db分)をカメラ用語で「ラティチュード(許容範囲)」と言います。
    こういう専門用語を覚えておくと、ちょっと自慢できます(笑)ので、ちらっと頭の片隅にでも置いておいてください。

    さて、今回ダイナミックレンジについて簡単に説明をさせていただいた理由は、twitterで「やっぱりJPEGではなくRAWで撮影すべきですよね?」という質問をいただいたからです。

    では、ここで次回に向けて皆さんに質問です。
    写真を撮影する場合、RAWで撮るべきだと思いますか?それともJPEGで良いと思いますか?はたまた両方撮っておくべきだと思いますか?
    この答えにはダイナミックレンジ以外の要素も含まれますが、紐解く上でどうしてもダイナミックレンジの話をしておく必要がありましたので、今回はこのテーマで書かせていただきました。

    次回はこちらの答えを含めて撮影データの残し方についてお話しさせていただきたいと思います。

    

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